240727-0802 オーストラリア(番外)
- 光太郎 笠原
- 2024年9月7日
- 読了時間: 7分
オーストラリア3ヶ所を回る旅行に行ってきた。ハネムーンだ。自分にとっては初めての海外旅行。観光目的だったから、走ることがメインではない。
ただ、未知の場所で自分なりの楽しみを探して、それを味わうという意味では、これまでのランニング旅と共通するところもある。
そして滞在した3ヶ所それぞれで、わずかながらではあるものの走ることができた。今回の旅の中で1kmたりとも走らなかったとしたら、それこそ後悔の念が強く残っていたことだろう。走れて良かった。
・ケアンズ
オーストラリア北部にある亜熱帯気候ののどかな街。
人口は15万人程度というから、小田原とか東久留米なんかよりもむしろ少ないくらい。それでも近郊に世界遺産を2つ抱え、気候も年中温暖で過ごしやすいことから、オーストラリアを代表する観光地になっている。冬場とはいえ日中は25℃くらいになるからとても過ごしやすい。乾季にあたるので天候もそれなりに安定している。日本人も多く訪れるみたいで、いろんな店で日本語のわかるスタッフが対応してくれた。英語のコミュニケーションの場合でも、こちらの意をなんとか汲んでくれようとするから、とても親切心を感じる。
意思疎通ができた時にみんな言うのが「Perfect!」
レストランで「水は炭酸抜きが良い」と伝えたら「Perfect !」、ケーブルカーで「途中下車せずそのまま進む」と伝えたら「Perfect !」。「OK」とか「All right」くらいで良さそうなところ、大袈裟にそうやって言ってくれると、自分の英語がきちんと伝わってるんだと分かって安心する。おだてられるとはわかってるけどうれしいもんだ。
郊外の動物園で念願のコアラとの記念撮影をすることができた。「オーストラリアに行った!」ってわかりやすく伝えられる可愛いアイドル。カンガルーのえさやりとか、ワニの餌付けクルーズとかもコースに入ってる。意外とウォンバットの体型と仕草が愛くるしくて夫婦そろってとりこになった。日本の動物園に比べ、動物との距離感が近い。定番とは言え、ここに行けたのはまず良かったところだ。
ケアンズから北西へ移動したキュランダ村へ行く。熱帯雨林の峡谷の中に突然現れる芸術家たちが集う小さな村というか観光スポット。
ここで少し走れた。アップダウンの激しい場所にマーケットが点在しているところで、こんな場所で走っている人はさすがにいない。なかなかできない経験ができた。
ここへの移動手段は、往路がケーブルカー、復路が列車。鬱蒼とした森を上からも横からも眺めていたけど、ここに交通網を通した先人たちの努力に敬意を感じる。よくぞ開拓したもんだと頭が下がる思いだ。一朝一夕には立ち行かない工事をひとつずつ乗り越えて、完成させてくれたんだろう。仕事の積み重ねがきちんと形として残ったものには心から感動を覚える。

夜のケアンズビーチでも少し走れた。ライトアップされた観覧車がとてもきれい。ビーチ沿いに伸びる「ケアンズ・エスプラネード」は海とヤシの木を見ながらランニングできる。正に南国らしいリゾートロード。ランナーが多くて、みんな気持ちよさそうに走っていた。うらやましい。あの道をもっとじっくり心ゆくまま走ってみたいなって心から思う。
・ハミルトン島
グレートバリアリーフを代表するリゾートアイランド。ここの島々の中で唯一空港があるので、観光客がオーストラリア内外からたくさん集まる島。
ここのマリーナを散策中に印象深い出来事があった。
道の向こうにいた中年の男女5人組、おそらくオーストラリア国内の方々。バカンスで訪れているようでかなり陽気に会話している。そのうちのひとりが近づいていく自分たちに向かって「やあ」ってな感じで手を挙げて寄ってきた。自分はそれを見て写真でも撮って欲しいのかなと思い、カメラで写真撮るジェスチャーをしてみた。
すると「いやいや、違うよ。あいさつしただけだよ」ってな感じで、にこにこしながら肩をたたいてくれた。
この一連のやりとりが自分にとっては結構うれしいコミュニケーションだった。なんだかみんなリラックスしていて陽気。接するのが気持ちいい人たちであふれていた。
そんなことが何度かあった。
クルーズ船に乗っていた時、向かいに座っていた年配の男性が、降り際に自分の肩に手を置いて反対側を指さし「向こうにちょうど飛行機が着陸するところだよ」って教えてくれた。なんでそんな情報を伝えてくれたのかはわからないけど、不審な感じはまったくなくて、親密な雰囲気を感じた。
軽食のテイクアウトの店員さんはとっても陽気。最初アイスを選んでいるときには「味見するかい?」って、候補の分をちょこっとくれた。そのアイスを買う時に雑談「オレには日本人の友達がいるのさ。千葉に住んでいるんだ」なんて教えてくれて、最後に日本語で「アリガトウゴザイマシタ」ってお辞儀もしてくれた。さらにはその後再訪したときに「Hey,my friend!」って声かけてくれたから喜んでピザを買っちゃった。コミュニケーションて大事だ。
ホテルから空港へ車で送迎してくれた若い女性のポーター。日本にすごく興味があって、いつかは日本に行きたいという。
村上春樹のファンだそうで、彼女がその名前を出すと、思わず自分が「Me too」って発してた。好きな村上作品を聞かれた。いくつか頭に浮かんだけど、英訳がわからない。そんな中で唯一自信持ってわかった「Norwegian Wood(ノルウェイの森)」って言ってみたら、「私も一番好きよ!」って答えてくれた。ナイスチョイス、光太郎。あとは「スプートニクの恋人」と「1Q84」も好きと言ってた。どっちかっていうと自分はそっちの方が好きだったかも。でも、その場での会話の盛り上がり優先で良かったとしよう。
この島でも何度か走れた。マリーナのところで空き時間に走ったり、泊まっていたホテルのとてもとても広い敷地内で走ったり。
少し離れた場所にあるウィットサンデー島へクルーズで出かけた時も、ビーチの地層の硬い部分を走った。
そこが「世界一美しいビーチ」とも呼ばれる「ホワイトヘブンビーチ」。澄んだエメラルドブルーの海と真っ白なビーチの砂がとても幻想的。なんだか現実の光景とは思えないようなランでの光景だった。ここで走れたことは本当に良かった。いつまでも記憶に残るだろう。しおりちゃんもちょこっと走ってた。まんざらでもない様子。ここを走って気持ちよくならない人なんていないんじゃないかと思う。それくらい素敵なビーチだった。
・シドニー
それまでの2箇所と違って、一気に大都会にやってきた。そして一気に南へ行くので、冬真っ盛りかなって思ってたけど、思ってたほどは寒くない。それでも夕方の街を歩くと冬の雰囲気を感じた。
素敵な眺望のホテルの高層階に宿泊。オペラハウスとハーバーブリッジが一望のもとに見渡せた。夜景がまた素敵。パリ五輪の期間でもあったから、オペラハウスがオージー選手団のチームカラー緑と金色(黄色)にライトアップされていた。あの光景がいまでも鮮明に脳裏に焼きついている。
今回のツアーの元々のパッケージの中にはシドニーでの宿泊は入っていなかったけど、アレンジして入れてもらった経緯がある。このアレンジは大正解だったなって思う。思い出深い一泊ができた。
オペラハウスの周りで走る。サーキュラーキーという船着場がいろんな交通の基点になっていて、そこを中心にオペラハウスの方まで遊歩道が整備されている。
シドニーの街は観光客も多いけど、ランナーも多い。平日の午後からたくさんの人が思い思いに走っている。そんな訳で自分が急にそこで走り出してもまったく違和感がない。そういう観光地って素敵。左手にハーバーブリッジ、右手にオペラハウスを見ながら走れる箇所なんかは特に素晴らしい。人が多い時間だったんで、そんなに解放感がなかったけど、人の少ない朝方とかに走れたらより気持ちいいだろうなと想像する。ここもまた再訪したい場所だ。

初の海外旅行、初のオーストラリアは、とても実になる旅行だった。当地でのコミュケーションは、日常生活では味わえない緊張感と喜びを経験できたいい機会。主なやりとりと言えば、ホテルでのチェックインとレストランのオーダーくらいなもんだけど、それだけでも日本との違いを感じることができた。
何度かは血の通った会話もすることができた。ハミルトン島の道端で会った気のいいおじさん、ハルキストのクオリアのポーターさん。母国語が通じない相手とどうやってコミュニケーションを取ろうとするか。わずかではあるけれど共有する時間を少しでもよいものにしようとお互いに歩み寄ろうとした。全般通して、オージーの方々にはとても好印象を抱いた。おおらかで、陽気。ホスピタリティに溢れている。そういう国民性なんだろうと思う。とても素敵な人達だ。ハネムーンの場所としてこの国を選んでよかったと思う。
そしてこの旅をともにしてくれたしおりちゃんに心からの感謝をしたい。彼女のおかげで、一生に残る思い出が作れた。
「また絶対行こうね」と言われる。自分もそう思う。是非実現したい。

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