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231103-23 宮城・栃木

  • 執筆者の写真: 光太郎 笠原
    光太郎 笠原
  • 2023年11月30日
  • 読了時間: 7分

11月の初めに、しおりちゃん、義理の両親、祖母とともに宮城県の鳴子温泉へ行く。義理の祖母が山形の村山に住んでいて、そこへ挨拶へ行く目的も含めた二泊三日の旅行。


ものすごく贅沢な思いをさせてもらった。行き帰りの全ての移動は義理の父の運転におまかせ。宿や食事の手配まですべてやってもらえた。これまで自分がやってきたランニング旅とはまるで違う方法。旅行先でフルマラソン走って、へとへとになりながら新幹線乗って、グロッキーになりながら帰ってくるような旅もあれば、こんなにゆったりと楽しめる旅もある。こういう旅の時間を過ごせるのも幸せなこと。義理の両親に心から感謝だ。


そうは言いつつも、うれしかったのは旅行先でもランニングができたこと。宿からほど近いところにある鳴子峡が、正に紅葉真っ盛りの時期。それを夜明け直後の人の少ない時間にゆったりと見物できる。日中に行くと渋滞で何時間も待つような状況だったから、そんな感じでふらっと楽しめたことがとてもラッキーだった。これはランニングを趣味としているものの役得だ。



旅行の後、ちょっと体調不良があり、珍しくまるっきり走れない日が二日間あった。ようやく回復し、なんとか走れる体勢に戻った勤労感謝の日に、栃木県で大田原マラソンに参加する。ランナーの間では、記録を狙いやすい大会として認知されているようだ。今年で33回目とのこと。フルの大会としてはそれなりに歴史がある。今回はコロナ明け最初のリアル大会、4年ぶりだったそうだ。


スタート時間が10時。新幹線の那須塩原駅からシャトルバス出ているんで、東京からの日帰りで十分行ける。駅降りてからの動線もしっかりしている。まったくストレスなく会場まで行けたのはありがたかった。陸上競技場と体育館が併設された複合運動施設がスタート・ゴールの会場。

外のベンチでハンバーガーとあんパン食べて腹ごしらえ。最近は「レース前だから」と特別な食事調整をしていない。結局、普段通りに食べて、普段通りのぞむのがよいのかも。会場には「サブ3」「サブ3.5」「サブ4」と書かれたパネルが立てられている。「レース後ここで写真を撮るぞ」というモチベーションになって、いい企画だ。スタートの1時間くらい前には会場の陸上競技場へ移動していた。トラックをゆっくり周回しながらウォーミングアップしてスタートまでを過ごす。



参加者は3,000人程度の中規模の大会。そんなにゴミゴミはしていない。ただスタート直後だけはかなりゴチャつく。陸上トラックを一周してから、細い路地を進むんだけど、その辺りは進路を探すので手一杯。ようやく2kmを過ぎたところで、サブ3ペーサーの前に出ることができて、視界が開ける。その後は、自分のペースで走れる。


前半はずっと緩やかな下りが続き、後半は折り返して緩やかな上りとなる。コースの攻略法としては、下りで飛ばしすぎることがご法度。キツくなる後半までいかに体力を温存してのぞめるかというのがポイントとされている。ただ自分のプランは少し違う。後半にペースをあげるのは、不可能だから、前半のうちに貯金を作っておいて、なるべくペースを落とさず最後まで走りぬくことで、PBを狙う。


大田原がある那須野ヶ原は、那珂川と箒川が作り出した大きな複合扇状地。とにかく平坦な土地が広がっている。農業も酪農もさかんということだけど、今回のコースで目に入るのは、どこまでも広がる田園風景。建物という建物がなく、ひたすら田んぼ。その真ん中を幹線道路が走っている。同じ北関東では、柏とか霞ケ浦のあたりの情景に近い印象だ。あとは全く場所が違うけど、山形の長井マラソンで見た景色とも似通った印象がある。晩秋の日差しが稲刈りの終わった田んぼに降り注ぐ。走るのには少し暑いくらいぽかぽかしていて、実にのどかだ。


ここ3年くらい勝負レースではテンポネクストを履いてきていた。その初代分がだいぶ傷んできたから、買い換えようと探すも、なかなか見つからない。どうやら生産中止になっているようで、在庫品しか出回っていない。割高ではあったけど、なんとか新品を探し出し、今月の頭に納品された。それを履いて初めてのレースだ。やっぱりこのシューズは好きだ。身体への負荷をかけずに4分0秒台まで難なくあげることができる。一旦そのペースに乗れば、後はそのリズムを継続していけばいい。この大いなる反復運動の対価として、サブ3の栄光を得ることができる。そんな感覚だ。


Let the beat carry on and on

Don't ever let it stop

(Ken Yokoyama "Let the beat carry on"より)


制限時間が4時間という厳しい設定のレース。仮装や被り物は禁止。こないだ出た水戸の大会なんかと比べると、談笑しているランナーも少なく、真剣にこの大会にのぞんでいる人が多そう。そういう雰囲気も嫌いではない。「シリアスランナー」とはよくいったものだ。余談だけど、上級者ランナーを「シリアス」と呼ぶ対比として、初心者ランナーのことを「ファンランナー」と呼ぶことには不満がある。それだと、上級者がまるで楽しんでいないかのような印象を与える。むしろランニング歴が長くなって、身体が適応することで、より楽しめるようになるのにな。是非あらためて欲しいところだ。


それとは対称的に、地元の方々の応援はすごくのんびりしている。どこの大会に行っても、大規模な応援集団がいたり、大声張り上げて声援送ってくれる人がいたりするんだけど、ほとんどそういう人がいない。どこの大会でもある私設エイドは皆無だ。たまたまコース上に住んでいる人が、家の前に出て声かけてくれるくらいの感じ。それでも決して閑散としている訳ではなく、絶えず人には声援送ってもらっている感じだ。この場所で、33回目の開催ともなれば、地元の人にすごく根付いているんだろう。


大会の特徴として「スペシャルドリンク」が設置できるっていうのを売りに掲げている。設置する人にとってはいいんだろうけど、その分一般の給水所が少ないという不便さがある。自分はスペシャルドリンク用意していないから、その不便さがもろに影響する。5km以上給水できないセクションもある。中盤以降は渇きとの戦い。脱水になる心配を常に抱えながら走ってた。


ハーフまでを1時間25分で行く。これでPBへの色気が出てくる。このペースで行けば達成できる計算だ。

25kmまでが下り、そこまではペース変えずに進むことができる。その後ゆるやかな上りに入っていく。自分としてはそこでペースを落とした感覚はないんだけど、ラップタイムを見ると明らかにキロ5秒くらいは落ちている。やっぱりフルの後半は厳しいもんだ。それでもバテずに走っている感じだったし、何より前のランナーがバタバタとペース落ち始めて、どんどん抜いていけるから、「こりゃ調子いいぞ」と自信持って進んでいけた。


そんな感じだから、走っていて気持ちいい。相変わらず周りの景色は田園風景が続いていて、気を紛らわすものはないんで、ますます走りに集中するより他はない。残り5kmになってもまだ余力はあったし、わずかではあったもののPBの可能性も残されていたから、これまでになく真剣に走ってみる。

ステップをできるだけ細かく刻んで、フォアフットで着地、それをひたすら繰り返す。

周りの声援は耳に入らず、ただその動作に集中する。いわゆるランニングハイの「ゾーン」に入った感じだ。これまでのマラソンの中でもなかなか感じることができなかった境地。フルの残り5kmでこれだけイメージ通り走れたのは初めてかもしれない。ラップはそこまで変わってなかったけど、気持ちとしては、すごく充実したラストだった。


2:54:31のネットタイムでゴール。先月の水戸の大会とわずか1秒しか変わらないタイム。そして1秒遅いタイムだ。せっかくなら1秒早い方が嬉しかったな。でも、気分よく最後をまとめられたから、まったく悔いはない。これが今日の目一杯のタイムだ。

ちょうど10回目のサブ3達成。この安定感は我ながら大したもんだと、自画自賛したい。



レース後もシャトルバスで那須塩原駅まで連れていってもらう。駅前にあった「平成」といううどん屋さんで、肉うどんといなり寿司をいただく。「マラソン走ってきたの~」と店の奥さんから労いの言葉をかけてもらった。温かくて、なんだかとてもしみる味だった。



夕方、家に戻る。しおりちゃんが一言目に発したのは「おかえり」でも「お疲れ様」でもなく、「たまねぎ忘れた!」だった。

カレー作ってくれてて、それに入れるつもりだったらしい。帰りしなではあったけど、「買いに行くよ」と自分が近くのスーパーにチャリで行ってきた。店の前で、今までに見たことないくらいでっかい野良猫に会った。そういえば今日は猫ひろしにも会ったな。猫に縁のある一日だ。


年内のフルの大会はこれでおしまい。24年で次のステージへ進むべく、年末年始も過ごしていこう。

 
 
 

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