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230416 青森

  • 執筆者の写真: 光太郎 笠原
    光太郎 笠原
  • 2023年4月27日
  • 読了時間: 7分

更新日:2023年5月31日

♪上野発の新幹線を おりたときから 新青森駅は 薄雲の中♪


頭の中で「津軽海峡冬景色」のメロディが何度も流れる。着いて早々に思ったのは「青森は港町なんだな」ということ。あんまりそういうイメージなかったな。そして明るく楽しい海街というよりは、少し哀愁のある風情が似合う北の街という印象。今日の天候は正にそういう薄暗い空だ。ただ事前の予報では雨だったから、降っていないだけでもうけもの。お目当ての桜を見に行こう。


出発前日の夕方、八戸の代理店の奥さんと電話で雑談。

「青森の方、桜はどうですか?」と聞くと、

「いま、ちょうど満開でキレイですよ」と教えてくれた。


そんな訳で向かったのは弘前公園。青森から鈍行で30分ほどだ。5両編成のローカル線は人であふれていた。国内外からの観光客に見える。弘前駅から弘前公園までは2kmくらい。荷物はコインロッカーに預けて身軽だったから、ジョグしていくことにした。

めちゃくちゃ気持ちいい。

気温は高くなくて、風が涼やか。車道は車であふれているけど、歩道はすいすい進んでいけるから、その優越感にひたりながら目的地まで行ける。


着いた弘前公園は、まあ見事にソメイヨシノが満開だ。例年より10日くらい早い満開だそうだ。なかなか行ける場所じゃないから、このタイミングで行けたことのめぐりあわせがすごくうれしかった。



桜を見るのは好きだ。

ランニングしていて、毎年必ず行くのは、上野公園と千鳥ヶ淵緑道。あとは小松川千本桜にもシーズン中に一度は行く。去年は目黒川と二ヶ領用水の花見スポットを見に行って、どちらもきれいだった。今年初めて走ったのが、板橋区から北区にかけて流れる石神井川沿いのコース。ここもよかった。ランニング歴が長くなるにつれ、好きな桜の風景も増えていく。



さて弘前公園。ここも定評に違わず見事な桜。この規模の城址公園で、これだけ桜に特化した作りになっているところを自分は知らない。外堀の両脇に植わっていてトンネルになっているところだけでも、十分眼福を味わえる。それに加えて園内も桜一色。内堀の周りも桜。少し広い通路の周りにも桜。芝生があって、ピクニックできるエリアにも桜。ここまで桜にこだわっているとは思っていなかったから、想像以上だった。芝生の近くの出店で焼きそば買ってそこで食べた。いいお花見になった。



前日の宿は青森駅の近くの「ホテルセレクトイン青森」。近くに「青森魚菜センター」と「味の札幌 大西」という飲食店があり、どっちも行きたかったんでハシゴした。 前者は、コンパクトなサイズの市場。館内のお店で好みの素材を選び、ごはんにのっけて食べることができる"青森のっけ丼"を味わった。結構楽しい。エビ、カンパチ、ホッケ、イクラやらを選んだ。ホタテの味噌汁と和え物もチョイス。それがすごくおいしかったな。後者は「味噌カレー牛乳ラーメン」というなんだかモリモリの名前の名物ラーメンのお店。名前の大仰さの割には案外やさしい味のラーメン。カップヌードルのカレー味を本格的にして、牛乳でまろやかに仕上げた感じの味。すごく好きだった。



当日、ホテルバイキングで朝食を摂ったあと、外へ出ると寒さに驚く。10℃はないし、雨がしっかり降っていて冷たい。青森駅からシャトルバスで大会会場まで向かう。

参加したのは「あおもり桜マラソン」。今年で2回目の開催だから、まだ歴史の浅い大会だ。フル、ハーフ、10キロの3種目があり、あわせて3,500人が参加したそうだ。参加料は7,000円。この規模の大会としては、かなり安い額。会場設備やエイドが、大規模大会に比べてやや見劣りする感はあるけど、コスパ考えれば十分満足だ。

スタートは青森市の野木和公園。公園の入口がスタート地点で、桜のトンネルになっている。ここもちょうど満開だった。そのロケーションは抜群だ。

天気は小雨で、気温も低い。ただそこまで寒さは感じない。雨はスタートして間もなくやんで、あとは降ったりやんだりだった。



前半は良くも悪くも長閑なコースだ。日本各地でマラソン大会に出たけど、何もないことに関してはこれまでで一番かもしれない。

10km強、幹線道路をひたすら北側へ走る。国道280号線、典型的な農道だ。左手は防風用のフェンスがあり限定的にしか景色が見えない。右手は一面に続く畑か田んぼ。とにかくフラットで走りやすいといえば走りやすいけど、もう少し刺激が欲しいなって気持ちにもなる。後潟というところで折り返し、次の10kmは同じ道を戻ってくる。


その折り返しの途中でトラブル発生、尿意を催してきちゃった。

ここ数年の大会ではまったくなかったこと。トイレ系のトラブルは普段走っている時からほとんどない。それがこのタイミングで来たかと思うと悔しい限りだ。はじめはやり過ごせる程度だったけど、20~30分すると、いよいよ無視できなくなる。そこからはトイレを探しつつ、気を紛らわせることで頭が一杯だった。コスパのいい大会運営とは書いたけど、トイレの設置台数については不満がある。走れども走れども全然ない。エイドはあってもトイレはないって箇所も2つくらいやりすごした。何度「道端でしちゃおうか」と誘惑にかられたことか。悪いことに一度やんだ雨がまた降り出し、体を冷やす。よくない流れだ。


25km過ぎでようやくトイレを見つける。その時は心底ほっとした。正に駆け込むようにトイレに入り、用を足せた。たぶん1分くらいのロスだったかな。


トイレから出た時の爽快感は、いままでに経験したことがないほどのさわやかさだった。ここから別のレースがスタートするくらいリフレッシュされた。はからずも、そのあたりで晴れ間が差してきて濡れた路面が輝いて見える。とてもいいリスタートだ。それまでサブ3ペース集団の前を走っていたのが、そのロスの間に後ろにつくことになった。それが確認できたから、まずはそこに追いつくことをターゲットに走る。


27kmのエイドで水と大福をもらう。そこからこの大会最大の名所「青森ベイブリッジ」を渡る。アーチ状の橋の上りを、大福をちぎって食べながらのぼる。息が切れてうまく呑み込めないけど、ちょうどそこでサブ3集団に追いつけたから気分はいい。橋から見下ろす青森の街と陸奥湾はとてもよかったな。マラソン大会での好きな景色がまたひとつ増えた。橋の最上部でちょうどサブ3ペース集団に追いつき、そこからの下りで一気に追い抜いていった。そこから東へと向かう。


合浦(がっぽ)公園という桜の名所を通る。ここも桜が見頃でにぎやかだ。人出も多く応援の声も大きい。さらに東へ進み、野内川を越えたところで折り返し、これで36km。あとはいま来た道を6km戻ればゴールだ。サブ3集団抜くためにちょっとペース上げたことの反動があって、このあたりからややペースが落ちる。後ろからサブ3集団の足音が聞こえ、二度目の合浦公園では集団に飲み込まれる形になった。ただ、そこでペーサーが時間調節のために、少しペースを落としたようで、再び集団を引き離す格好になった。集団の方がペース落として、自分は変えなかっただけなんだけど、それでも集団より前に出れたことの心理的な安心感は大きい。「これなら今回もサブ3でいける」と自信がわく。そこからの約2km、精神的には余裕を持って走れた。


青い海公園がゴール地点。海の見える見晴らしのいい公園だ。風が強いものの、日差しもうっすら差していて気持ちいい。

グロスタイム 2:58:40 ネットタイム 2:58:25

途中トイレに行くアクシデントがありながらもこのタイムでゴールできた。悪くない。

8カ月連続でのフルマラソン大会出場が無事終了。そのうち5回でサブ3を達成できた。アベレージ率は誇っていいところだろう。そしてこれだけ走っても健康そのもの。いい状態で最後まで走り続けられたことが何よりうれしい。


あおもり桜マラソン

ゴール会場の脇に海が見えるテーブル席を見つけた。

会場の出店で串刺しのチキンを買い、完走賞でもらった青森のソウルフード「工藤パン」と一緒に食べた。このシチュエーションで食べると、とってもおいしく感じる。



ここで急にオランダの話に飛ぶ。

サッカーのオランダ代表のレジェンドで、自分とほぼ同世代の元スター選手アリエン・ロッベンが、ちょうど同じ日にロッテルダム・マラソンに挑戦したようだ。そこで39歳にして自己ベストの2:58:33という記録を出したとのこと。自分とほぼ同じタイムだ。


ロッベンの『NOS』の取材に対する言葉が印象的だ。


「完全にボロボロだが、やり遂げた!私はもうプロの、トップアスリートではありませんが、言えることがある。マラソンを3時間以内で完走したら、トップアスリートだと思う。ビッグタイトルを獲得したようなものだ」(「goal.com」より)


そう、そうなんですよ!ロッベンさん、と強く同調したい。

サブ3で走ることはカンタンなことじゃないんです。この達成感は何度味わってもいいものなんです。それをこういう影響力ある人が声高に発言してくれると、自分の自尊心もみたされる。いいこと言ってくれた。


これでフルマラソンのシーズンが終わり、5月からはウルトラマラソンを2カ月続けて走る予定だ。

サブ3ペースのようなハイペースでは走らないから、ゆっくりのんびり走ろうと思っている。すくなくとも「いま」は。

でもスタート地点立って、他の人と一緒に走ると、また別の感情沸いちゃうかもな。それはそれで受け入れて、自然体で走ればいいんじゃないかな。

 
 
 

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