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230115 沖縄

  • 執筆者の写真: 光太郎 笠原
    光太郎 笠原
  • 2023年1月29日
  • 読了時間: 9分

更新日:2024年1月19日

2023年の走り初めは石垣島マラソン。

去年もエントリーしていた大会だったけど、コロナのまん延防止等重点措置のあおりを受けて、延期になったことで、結局参加できなかった。2年ごしでやっと出場できる。


石垣島へは成田からの直行便で行ける。

7:00発の便だから日暮里から始発の電車で行かないと間に合わない。それでも普段通り3時に起きて5kmだけランしてから出発するくらいの余裕があった。フライト時間が丸4時間。ほとんど海外旅行だ。長いなと思ってたけど、旅のお供が大活躍。ニコリ編著の「じっくり推理パズル」をやってたら、時間があっという間に過ぎてった。あの本は驚異的だ。推理系のパズル問題が文章題で記載されている。ひらめきではなく、論理で解いていく感じで、じっくり考えると着実にひとつずつ解が見えてくるっていう内容。一問解くのに10〜20分は平気でかかるし、気持ちを集中させないと解けない。いい時間潰しになったし、解けた時の快感も味わえた。


飛行機から降り立つと、予想していたとはいえ、東京との気候の違いに驚く。あったかいのはもちろん、湿気があって、梅雨時みたいな肌感覚がある。さすが亜熱帯気候の島だ。空港までレンタカー屋さんが送迎に来てくれていた。若いお兄ちゃんで「明日はマラソンですか?ぼくも出るんですよ」なんて声かけてくれる。レンタカー屋さんは、のんびりした空気で営業してた。事務所行くとたくさんの人懐っこい猫がお出迎えしてくれる。警戒心がなくて、あけっぴろげなやつらだ。石垣島の野良猫に生まれるのも悪くないなって思える。



一日目は観光をするつもりだ。本格的なドライブの前にレンタカー屋さんの近くの「ふるさと食堂」でソーキそば食べた。おいしい。ちなみにこの食堂は気に入っちゃったんで、翌日のレース後にも来て、名物の「ジャンボカレー」を食べたりもした。開放的でホームメイド感のあるお店、すごく自分の好みにあう雰囲気だった。



食事はとてもよかったんだけど、困ったのは食事中から汗が止まらなくなったこと。たぶんいきなり気候の違うところに来て、体温調節がうまくいってなかったんだろう。さらに言えばちょっと飛行機酔いしてたようで、頭痛がしてくる。そんな体調で島めぐりのドライブをスタート。


まず展望スポットの玉取崎展望台へ行く。そこにアクセサリーの露天商をしている親子がいた。

中学生のお兄ちゃんと、小学校高学年のお姉ちゃんは、割とクールにその場にいてスマホとかいじってたけど、年長さんの女の子はかいがいしくお父さんを手伝っている。

「この『やこうがい』は、いしがきじまでとれる、かいのいっしゅで…」みたいな口上をすらすらとしゃべっていてかわいらしい。

お父さんは、ずんぐりした体形で、ガタイがよくて、日に焼けてて、ヒゲをたくわえている。いかにも島の人っていう雰囲気で、しゃべっていると自然と好感が持てる。応援の気持ちも込めて、2種類くらいアクセサリーを買ってきた。

去り際に、今回の旅の目的を話すと、

「今日は晴れてて島めぐりに最高、明日はくもっててマラソンするには最高。お兄さんの日頃のおこないがいいんだね!」

なんて言ってくれる。この時期、島の天気は不安定だそうだ。いい時に来れたと思えると、気分がよくなる。



その後、最北端の平久保埼灯台へ行き、米原とか川平あたりの見晴らしのいいビーチへ行く。ところが困ったことに、どんどん体調が悪くなる。川平のビーチなんかはめちゃくちゃきれいなブルーの海と、真っ白な砂浜が映えてて、景色見ると癒されるんだけど、いかんせん気が晴れない。今日中にマラソンの前日受付もしなきゃいけなかったりするんで、観光もそこそこに市街地へ戻り、明日の会場の総合体育館で受付したあと、ホテルへ戻って休むことにした。結果的にはこの選択が正解。ホテル着いた時には心身ともに最悪のコンディションだったけど、ひと眠りしたら体調も食欲も戻ってた。「これなら明日、マラソン出れるな」と確信し、近くのコンビニで買ったタコス巻きを食べてから、前日は就寝した。



当日、ホテル出たのは7時前。東京なら日が昇っている時刻だけど、こっちではまだ。しばらく暗い中をドライブして、会場から少し離れた病院の有料駐車場に車を停めてスタート地点へ向かう。天気は雨がちなくもり。スタート時の気温は20.4℃、北北東の風7.4m。東京に比べると気温は高すぎるくらい高いけど、日差しないし、ミスト上の雨が降る時間が長かったんで、走りやすいコンディションだった。スタート前に全身震えながら号砲を待つよりずっといい。フル・ハーフ・10kmとレースは3種目があり、参加者はあわせて3,200人程度。思ったよりもはるかに人が多い。



スタート前の開会セレモニーが印象的だった。石垣市出身のシンガーソングライター成底ゆう子さんがスターターを務めた。司会の方とのトークがずっと止まらないんで、「スタートに間に合うのか」とやきもきしてたけど、スタート直前に「ダイナミック琉球」を一節歌うとそれまでの空気が一変する。

「海よ 祈りの海よ 波の声響く空よ 大地踏み鳴らし叩く 島の太鼓ぬ響き」

すごい!一気に厳かな雰囲気に変わる。体が震えるような感覚になり、気持ちが切り替わった。歌の力って素晴らしい。


https://www.youtube.com/watch?v=YqW7Y9xKZko


フルもハーフも一斉にスタート。しかもスタートブロックがないんで、いろんなレベルのランナーが入り乱れてて、かなりごちゃついた入りになる。なんとか進路見つけて、2kmくらいからようやく自分のペースで走れる。4:25〜30くらい。今日はこのくらいで行こうと決める。


序盤で島の繁華街を走る。まだ雨も弱くて、みんな元気に応援してくれる。その辺まではハーフの選手と同じコースなんで、にぎやかだ。その後フルは島の西側の海岸沿いを北上していく。一気にランナーがばらけだし、沿道の人も少なくなっていく。海沿いだし、オーシャンビューでも眺めながら楽しんで走れると思ってたけど、意外とタフなセクションだった。


特に14kmくらいのところにある名蔵大橋のあたりが一番キツかった。

風がすごい。海から吹いてくる風で、向かい風ではなく横風なんだけど、それでも前に進めないくらいの強さ。大げさでもなく前に倒れるくらいに体を傾けないといけなかった。エメラルドグリーンの海と、マングローブが生い茂る景勝スポットなんだけど、それどころじゃない。強烈なインパクトが残る場所になった。


そこから右折して島を横断する道に入る。山道の上りではあるけど、さっきの風よりは全然マシ。サブ3くらいのペースで走る場合、序盤は集団走、中盤以降単独走っていう流れになるんだけど、今回は割と序盤から単独走。視界にランナーがひとりもいない状況も結構あった。正月の箱根駅伝の解説で、しきりに出ていた言葉、「ランナーは、前のランナーが見えるとやる気がわく」っていう金言通り、視界に先行ランナー見えると、それを抜かそうと、闘志に火がつく。今回ほどそれを感じたことはなかった。逆にそれだけをモチベーションに、ひとりでも多くのランナーを追い抜こうと走り続けた。


コースや大会自体の印象として、自分が出た経験のあるものと比較すると、指宿マラソンに近い印象かな。アップダウンが激しくて、平坦なところがほとんどない。風光明媚な景色もあり、牧歌的な農村風景もある。指宿マラソンは本州最南端のフルマラソン。さすが南国だから印象近いのかなとも思ったけど、指宿から石垣島は、東京から指宿と同じくらいの距離離れてた。石垣島ってそんなに遠いのね。

(東京〜指宿間、指宿〜石垣島間どちらも約1,000km)


今日痛切に感じたのは、坂の上りの方が先行ランナーとの距離が一気につめやすいってこと。サブ3目指して走るようなランナーは平坦なところではなかなかペース落ちない。チャンスがあるのは坂の上りで、そこではペース落ちる人もいる。自覚はないんだけど、相対的に考えると、自分は同じくらいのペースで走るランナーと比べて、どうやら上りを得意としているようだ。平坦ではなかなかつまらない距離を、そこでつめられるってことに気づいた。今日一日で上りがだいぶ好きになったかも。


27〜28kmのあたりで空港が見渡せるちょっとした高台に出る。今日一番気持ちよく走ったのはここかな。島の奥の方まで見渡せるし、海も見える。ちょうど雨も上がってたし、下り坂だったから、無理なくスピードも上げられる。後でラップ見ても4:00台になってて、今回のベストラップを記録してた。空港前のエイドを過ぎると30kmだ。あとは島の東側を走って、スタート地点まで戻っていく。


後半で心配していたのが、昨日の体調不良の影響。昨日の今日だったから、いつブレーキかかるか気にしてた。このあたりになっても、体調の変化はないんで、これなら最後まで乗り切れると元気になる。宮良川のマングローブスポットの橋を渡り、再び人の多い地域へ戻ってくる。沿道の応援がとても温かい。他の大会と比べて、子どもの声援が多かった気がする。家族揃って家の前で待ち構えて、声援送ってくれる感じだ。島の子どもたちには、前日から心癒された。ドライブしていた時、横断歩道で待つ小学生くらいの女の子のために車停めてあげたら、御礼に手振ってくれた。すごくピュアな印象だ。そういう子たちから応援されるとよりうれしい気持ちだ。

幹線道路の片側だけ規制してマラソンが占有、反対車線は車の往来がある。行き交う時にその車の中から声援がかかったりもする。そういうのもなかなか経験できない応援のされかただ。一瞬で通り過ぎちゃうから、あんまりうれしさは実感できないけど。


ゴール地点の競技場の近くになっても、結構競りかけてきてくれるランナーがいるんで、最後まで気抜かずに走ってこれた。トラック1周してゴール。ゴールテープも切らせてもらった。

ネットタイム 03:04:00

順位が920人中32位、年代別では221人中9位。胸張って誇れる好記録と言ってもいいくらいだ。今年の走り初めとしては上々の内容だったと思う。


石垣島マラソン

前日の夕方の話に戻る。

ホテルでうずくまって静養してた時、「果たして旅の目的を達成できるか」とだいぶ不安感がよぎった。それでも17時半過ぎに目が覚めた時には、自分でも驚くくらい回復していた。これなら大丈夫と、夕食を買いに外に出て驚いた。

「まだ日が暮れてない!」

石垣島の日の入りは、東京より1時間以上遅いようだ。まだ日が残る時間に回復できたってことで、元気が出た感じもする。


今回の旅のテーマ曲はこれだろう↓

"It's a brand new sunset

I won't cry, cry, cry

Cause I'm a tough boy"


Hi-Standard "Brand New Sunset"


日本の最南端であり、最西端である場所でのフルマラソン。それを一時的な体調不良起こしながらも、一泊二日の強行軍でタフに乗り越えられたのは、誇りに思える。これなら日本中のフルマラソン、どの場所でおこなわれようが、自分がどんなコンディションで臨もうが、楽しんで乗り切れるだろう。そんな自信を持てた大会だったかな。すごく意義のあるレースになった。



 
 
 

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