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221211 奈良

  • 執筆者の写真: 光太郎 笠原
    光太郎 笠原
  • 2022年12月25日
  • 読了時間: 9分

更新日:2023年5月31日

11月の終わりにCBランニング部の練習会を開催。

ほぼフルメンバーに近い5人が集まった。練習内容としてはごく軽めだったけど、ランニングモチベーション向上のためにはすごくいい集まり。「3月にみんなで板橋シティマラソン出よう」とか「6時間耐久リレーマラソンにチームで出よう」とか、そんな話題で盛り上がった。

何よりうれしかったのは、練習後に「すたみな太郎」へ行って、爆食いできたこと。この年齢になると食べ放題の店に仲間と連れ立って行くっていう機会が少なくなる。行ったとしても、控えめな食事量で済ませるっていうケースもある。今回は違った。焼肉・寿司・惣菜・デザートが所狭しとテーブルを埋め尽くし、みんな食べる食べる。しかも、おかわりの連続でテーブルには常に新しい料理が盛られていた感じだ。学生の時に、こんなテーブル見たことあるなっていうシーンを久しぶりに目にできて、すごくうれしかった。もちろん自分も腹いっぱい食べられたしね。



12月前半はサッカーワールドカップに夢中になった。

朝のランニングを終えると、ちょうど生で試合をやってる途中から見れたんで、リアルタイムでもかなりのゲームを見れた。あとはAbemaのネット配信が無料でいつでも見れるんで、それも活用。そうすると、毎日の自分時間がランニングとサッカーだけで一杯になる。幸せなサイクルだ。

この奈良の大会の週は、ラウンド16で日本がクロアチアに惜しくも敗れた一戦があった。これがあっただけでも寝不足だったけど、それ以外にも同僚とボードゲームカフェ行って遊んだり、部内の忘年会があったりと、なかなか睡眠時間が十分に取れないスケジュール。まあどれも心地いい時間の過ごし方だから、そこまで負担は大きくない。

大会当日の朝は4時からサッカーワールドカップのイングランド×フランス戦をPCで観戦。点の取り合いで面白い試合だった。応援していたイングランドは、最後のチャンスでケインがPK外して、惜しくも1-2で敗退。ちょっとガッカリはしたけど、十分に楽しんだ。遠征先の旅館でマラソン大会前に見た試合として、ずっと記憶に残るだろう。


さて、今回来たのは奈良だ。前日朝早い時間の東海道新幹線で現地に入る。

中学の修学旅行で来た。その時、東大寺へ行った記憶がなかったんで、是非とも今回は行っておきたかった。最近、鎌倉と高岡で大仏を見たんで、日本三大大仏を短い期間ですべて見ることができた。こんだけ短期間だと印象を比較することができる。まず大きく違うのが、大仏殿の中におさめられているところ。それだけで「ありがたい仏様を拝める」っていう演出的な効果がある。大仏殿自体が建築物として勇壮でかっこいい。骨組みのところなんかはすごく手の混んだ仕事をしていて感心する。そして中に入ると大仏様とご対面となる。全体的に丸い印象だ。頭が大きく、優しい雰囲気に包まれている。ちょうど正面から日が差す時間で、輝いて見えた。スケールの大きさは三大大仏の中でも抜群だった。さすがに歴史を重ね、拝み続けられてきただけの威光がある。見れてよかったなと思う。

その後はガツガツ観光せず、のんびり回るだけに留める。柿の葉寿司とよもぎ餅で糖質補給もばっちり。

サッカーと奈良の史跡に感銘を受けて、いざ勝負に挑む。



会場は、宿から歩いて30分ほどのところにあるロートフィールド奈良。一万人規模の大会なんで、向かう道はランナーでいっぱい。会場自体は陸上競技場とそれに併設された運動施設がいくつかある広々としたところなんで、そこまでゴミゴミした感じはない。


実は関西圏のマラソン大会に出るのは初めて。レース前の雰囲気に独特な印象がある。

まずランナーたちの口数が多い。そしてそのほとんどが冗談めかしい雑談。他の大会で感じる張り詰めたストイックさがなくて、リラックスした空気だ。ただそんな中に挙動が大げさで目立つランナーもいる。せわしなく体を動かして、落ち着きがない。ストレッチをしているんだろうけど、「それで体がほぐれるの?」っていう動きをしてて滑稽に見えちゃう。そう、全体に愉快な印象がある。こういう地域ごとの特色を感じられるのは、遠征重ねているからこそなんだろうな。


身体の調子はいい。少なくともここ数回の大会の中では一番だ。10月の長井でも、11月の富山でも、走り出しの時に左ひざ周りに鈍い痛みがあったけど、それはほぼ解消された。気象的なコンディションもいい。気温は低すぎず高すぎずで、日差しも弱い。客観的に考えて「いいタイム出るんだろうな」って雰囲気だった。



スタート直後から順調にレースに入れた。

はじめのうちから結構バラけてくれるんで、ごちゃごちゃになる時間はほとんどなく、自分のペースで走れる。逆にこの規模の大会では珍しくペースランナーがいない。たいていサブ3のペースランナーの周りに大集団できるから、それを物差しに走ることが多いんだけど、今回はそれができない。最初から最後まで自分でペースを管理して、レースを作っていく。珍しく時計で1kmごとにペースを確認して、序盤を過ごす。


スタート地点から西へ進み、平城京跡まで行った後折り返し、再びスタート近くへ戻る。奈良の史跡が固まっている奈良公園周辺を通る。もちろん歩道にはシカがいる。マラソン大会の最中に野生動物見たのは初めてかも(野生とはいえないかな)。横目で眺めるだけなんだけど、なんとなく癒される。自分は遭遇しなかったけど、コース上に出てくることもあるようだ。そしたらもっと強い記憶に残ったろうな。


奈良の中心地から南へ向かう。道も細くなり、沿道の応援も減ってくる。ひたすらまっすぐでやや下り勾配気味の道。10~15kmくらいのセクションだ。あとで振り返るとここが今回のレースの中で一番難しいところだったかも。モチベーションの維持に苦労した。

先月の富山マラソンで自己ベストを更新したばっかりだったから、今回どうしても更新したいって程の強い気持ちがない。キツいコースだったり、にぎやかなコースだったりすると、否応なく気持ちが昂って、全力で走るんだけど、こういう平板なところはどうも気が緩む。「そんなにがんばらなくてもいいかな」って気持ちが芽生えはじめがちだ。だって、すべては自己満足なんだもの。「若者たち」(藤田敏雄 詞)の歌詞が頭をよぎる。

「君の行く道は 果てしなく遠い だのになぜ 歯をくいしばり 君は行くのか そんなにしてまで」

「なんで走ってるのか」なんてことをあえて問いたださない。なんとか強い気持ちを保ち、同じペースで走り続ける。


村上春樹のこういう文章がある。結構好きな一説だ。

「走り続けるための理由はほんの少ししかないけれど、走るのをやめるための理由なら大型トラックいっぱいぶんはある。僕らにできるのは、その「ほんの少しの理由」をひとつひとつ大事に磨き続けることだけだ。」


15kmすぎからはアップダウンが激しくなる。まず5kmで70m近く上る。そしてそこから3kmで同じ高低差を一気に下る。下りはラクではあるけど、走ってる対向車線に折り返しの道が見えるんで、「復路はこの勾配を上るのか」っていう気持ちになり、気が晴れない。だいたい4:00ペースで走っていて、下りのところでは3:50くらいにあがる。周りにいる自分と同じレベルのランナーは下りで3:40くらいにあげる。そうすると結構なハイペースで走ってるつもりなのに、抜かれていくっていう展開になる。それも気が晴れないもうひとつの理由でもある。ただ、そこで我慢してあげすぎないようにすることが大事。フラットなところにくると、今度は自分が抜き返せるんで「あせらなくてよかった」と思える。常に平常心を保ち続けられるか、そういうメンタルとの戦いが続く。


中盤で走るのが天理市内だ。天理市は天理教の影響の強い日本では珍しい宗教都市。あちこちに同じ作りの集合住宅が見えるんで、そこに信者の方が住んでいるんだろう。途中、天理教の本部のゲートをくぐる。さすがに豪壮な感じのある建物で、インパクトが強い。アップダウンの多い中盤の中では、比較的起伏のない道が続くんで、一息つけるセクションではある。でも、街並みとかに興味津々でキョロキョロ周りを見ていたから、一息つくっていう感覚ではなかったかな。


前半に心配していた復路の急こう配は28kmくらいからはじまる。そこにくると「ここが関所」と気持ちが集中して気合が入るんで、案外精神的にはきつくない。もちろん身体的にはキツいけどね。

反対車線では往路のランナーたちが大集団になって走ってる。それに比べると復路の密度はとても薄い。自分がいかに上位にいるかを実感できる。その後続ランナーたちにカッコ悪い走りは見せられないと踏ん張るんで、ペースを保ち続けられた。時にはこういう見栄がプラスに働くこともある。


32kmくらいで上りのピークに達すると、あとは下り基調になる。まだ足は残ってる感覚なんで、そこまでペース落とさずに進める。でも上げるほどには至らない。あとで振り返ると結構キツいコース設計なんだろうなって思う。

天理市から再び奈良市内へ戻ってくる。後半は沿道からの声援がとても励みになった。奈良の中心部は前半からずっと人が多くて、とてもたくさん応援をもらっていた。ただスタート直後は人が密集しているから、声援も全体にかけられていて、自分の脇を流れていっちゃう感じ。それが後半になると、人がまばらなんで、まさに自分のために声援してくれるのを感じ取れる。これがうれしいんで、ずっと手を振ってこたえてた。なんだか声援のボリュームも大きい。老若男女いろんな人が代わるがわる「がんばれ!」って言ってくれる。「ここでヘタるわけにはいかない」と気合が入るんで、ペースが落ちなかった要因のひとつになっていたと思う。やっぱりこれも見栄が力になってるのかな。


二度目の奈良公園を通ると残り3kmくらいになる。

ここから最後の上り坂。キツいことはキツいけど、先が見えてる分そこまで苦にならない。幸いなことにこの終盤になって競りかけてきてくれるランナーがいた。こういうコンタクトがあると再度気持ちに火がつく。坂で一度抜かれたけど、競技場の前で抜き返して、そのままリードをキープしようとペースがあがる。最後に来て4:00切るペースになり、疾走感を持ったままゴールできた。


タイム (ネット)2:54:14 (グロス)2:54:30


奈良マラソン

自己ベストを2分半以上更新した。3年間自己ベストの更新ができなかったのに、ここ2大会連続での達成。しかも前回はわずか40秒の更新だったのが、今回は2分半以上の大幅短縮だ。たしかに前回よくなかった足の調子はあきらかに改善していたし、天候的なコンディションもよかった。ただこれといって何がよかったのかはよくわからない。でも前回も書いたようにおそらくこれまでの積み重ねが功を奏しているんだろうと思う。

古人曰く「継続は力なり」と。

継続してきたことが自分に力を与えてくれたと信じている。ただ漫然と走ってきただけっていう感じもあるけど、それで着実に成果があがるスポーツはなかなかない気がする。そこがこのランニングというスポーツのよさだと感じている。



これで2022年のマラソン大会はすべて走りおえた。

3月の100kmウルトラマラソン完走にはじまり、最後の2カ月での連続自己ベスト更新で終えられた。ランニングにおいてはとても満足できる一年だった。そして、まだまだここが頂点ではない感覚があるのがうれしいところで、さらに上を目指せる感じがする。

もう一回書くけど「継続は力なり」だ。これからもこの不断の漫然ランニングを積み重ねて、高みを目指したい。

 
 
 

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