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201206 宮城

  • 執筆者の写真: 光太郎 笠原
    光太郎 笠原
  • 2020年12月19日
  • 読了時間: 7分

更新日:2020年12月20日


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宮城県の名取市でフルマラソン。

山口でも参加した「トライアルマラソン」のシリーズだ。会場は名取サイクルスポーツセンター。仙台駅から15kmくらいの場所で、スタート時間は10時から。時間調べたら当日の始発で行けば間に合うようだったんで、日帰りの日程組んだ。結果的にはこの日程でなんら問題なかったけど、行くまでのハードルがたくさんあった。

始発での新幹線移動、初めての新幹線eチケット、着いてからはレンタカーを素早く手続きして、初めて走る宮城の道で迷わず目的地まで行く。ここまではできるだけスムーズに、ストレスかけずに済ませないと、フルマラソンに差し障りがありそう。そんな訳で、極力気軽な感じで、構えすぎることなく当日は行動した。一番心配してたのはeチケット、「果たしてアップルウォッチ を改札でかざすだけで仙台まで乗せていってくれるのか」って半信半疑だった。始発の入場が始まる5時半前に改札のところに並んで「もし入れなかったら、チケットを買いなおそう」くらいの覚悟があったんだけど、まったくの杞憂に終わるくらいすんなり通れた。おかげで発車まで30分以上、誰もいないひんやりした待合室で待つハメにあった。まあそれも含めて、予定通り順調に仙台まで行けた。JRの「トレン太くん」のレンタカーで駅から移動。カーナビに会場まで連れていってもらった。名取市は仙台よりやや南にあるところ。会場は海沿いにある公園のようなところで近くには漁場やら、温泉施設やらもある。サイクルスポーツセンターだから当然ライダーたちがたくさん集っている。今日だけはそこをランナーが使うことになる。


スタートまで1時間くらいある。10時スタートは食事のタイミングが微妙になる。一応家でも朝ご飯は食べたけど、多分それだけじゃ持たないだろう。持っていったどら焼きとおにぎりで腹ごしらえする。

東北地方の12月の朝だから寒さは覚悟してた。前日の東京は最高気温で10℃に満たない気候ですごく寒かった。それ以上だろうと予想してたけど、拍子抜けするほどあったかい。なんだかポカポカしている。日差しがもろに降りそそいで、それを遮るものがまったくない状況。サングラスとキャップ持ってきてたのは正解。これがないと相当キツかっただろう。

全長5kmのコースをぐるぐる走る。円形じゃなくて、ほぼ直線の往復。ほぼ景色も変わらない。東側は海で、それが開けて見えてれば、まだ気分も晴れるんだろうけど、堤防があって全く見えることはない。聞けば、震災の時の津波でかなりの被害を受けたところのようだ。その事情を聞くと、この作りは仕方ない。スタート前に名取市長があいさつしてた。津波被害からようやく復興して、今年久々にこの施設を再開できたそうだ。震災から9年。復興にかけた労力たるや想像を絶するほどだろう。そのおかげで、コロナ禍にあっても、こうしてフルを走れる場所が確保されているし、我々地元民以外のランナーが安心して訪れることができるようになっている。ありがたいことだ。景色変わらないことで文句言ってる場合じゃない。見習ってひたむきに走っていこう。


前回、山口の大会の時にうまくいかなかったところは改善できた。ウェーブ形式の3巡目で早めにスタートできる。アップルウォッチは正常に作動している。コース図はきちんと頭に入れて、最終週の折り返し地点も1周目でしっかり確認した。

前半はとても順調。順調すぎるくらいだ。今回の相棒はテンポネクスト。これがやっぱりいい。ハナから4:00フラットくらいで入れてる。それでいてそこまで飛ばしている感覚はない。無理なくこのスピードが出せるってことがとても素晴らしい。周りにイヤホンしてる人がいなかったんで、自分も音楽なしで走った。音楽あることでリズムに乗るのが自分のやり方だけど、今日はなしでも気分よく快走。それくらい前半はいい走りができてたと思う。「こりゃサブ3もちょろいな」くらいの余裕すらあったほどだ。そううまくはいかないです。


はじめの異変があったのは4周目終わったところ。なんだか脇腹が痛くなった。ランニング初心者の頃によくなった懐かしい痛みだ。「久しぶり~」なんて再訪を愛おしく思う感じはなくて、やっぱり辛いもんだ。自分の感情なんて自分でコントロールしきれるもんじゃない。さっきまでの楽観的な気分がウソのように消え、「やばっ。これ完走できないかも」っていう弱気な気持ちがよぎる。4:00フラットのペースを少し落としてなんとか折り合いをつける。弱気がよぎるのは避けられないけど、それを克服できるかどうかは経験が物をいう。こういう対処は茶飯事。「そのうち和らぐ」っていう自信を取り戻し、走り続ける。その後2周くらいしたら、なんとか落ち着いてきた。はじめのペースには戻せないけど、このまま落とさなければ、それなりの記録は出るだろう。


この後でとんでもないアクシデントが起こる。7周目終わって、本部のあるゴール前を過ぎると、貼り紙が見えた。「コース変更。9周から10周に」とある。目を疑うとはこの時の状況を言うんだろう。まさか公認の大会で周回数が変わるとは!しかもレース中になんて。

確かにランキーパーの距離表示は短いなって思ってたけど、誤差のうちだろうと思ってた。信じられないんで、給水の時、係のお兄さんに聞いてみた。「はい、増えました。」だって。そんなあっけらかんと言うのね。その時に言い返すのはエネルギーの無駄遣いだから「わかった」って引き取ってランを再開。でも気持ちは「そりゃ、ねえぜ!」で一杯だ。あと1周半ならなんとか頑張れるって思ってたのが、急に2周半に逆戻り。罰ゲームみたいだ。大事なことなんでもう一回書くけど「そりゃ、ねえぜ!」だ。このアクシデントが、精神的にはとてもキツかった。


気持ち持ち直して走り続けたけど、この後今日最大の障害、足つりが来た。

32km過ぎくらい。これまでもレース中につったことはあったけど、今回のはかなりヘビーなやつ。立っていられないくらいのイタみで、その場に座り込んでうめいてた。思えば水分補給も栄養補給も足りていなかったかもしれない。自分の調整ミスだ。しばらく休んで落ち着いたところで再度走りはじめるけど、また1kmくらい走ると同じように足がつる。そんでまた動けなくなって、しばらくうめく感じだ。どうもスピード出すとダメらしい。まだ多少は余力もあったけど、スピード出して走ることはあきらめるしかない。慎重に状態見ながらジョグしていく。そんな訳で最後の9・10周目は、とにかく慎重に走るっていうだけの周回になった。まったく気分が盛り上がらないんで、くじけそうになるけど、今回はなんとしても最後まで走りぬきたい。なんせ前回山口での無念のDNFがある。強い気持ちで持ち直して最後まで走り切った。


結局3時間13分台でのゴール。間違いなくゴールはした。それが今日一番の誇りだ。あんまりいいレースはできなかった。特に後半はそうだ。それでもゴールのあとは、そんなに悪い気分じゃない。なんせ雲ひとつない、冬晴れのお昼過ぎに、海岸沿いの公園で目一杯陽光を浴びてるんだから。やっぱりお日様にはかなわないな。すべてを帳消しにして、晴れやかな気分にしてくれるパワーがある。レースプランがうまくいかなった一介の市民ランナーの憂鬱なんてすぐに吹っ飛ばしてくれる。


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帰りの新幹線の時間決まってるんで、レース後ものんびりはしない。足つりはレース後もひどいもんで、歩いていても急になったりする。砂利敷きの駐車場でなっちゃって、砂まみれになりながら、仰向けで横になったりもした。ツラかった。恐かったのは、運転中になったらどうしようってこと。大惨事になると思って、とにかく注意深く自分の体の様子見ながらドライブ。幸い何事もなく駅までたどり着けたけど、あれは恐ろしい経験だった。


メシ食ってない。腹は減っている。駅に着いたのが15時で、発車までちょうど1時間くらい。駅構内の「牛タン通り」で食っていこう。

何軒か並んでた中から「たんや善次郎」にした。「善次郎定食」ってのをチョイス。牛タン焼きだけじゃなく、煮込み、ソーセージ、つくね、テールスープが入ってるボリュームたっぷりなやつ。フルのあとに食欲がある時は、ホントに幸せだ。普通の状況で食って美味しいものが、その数倍は美味しくいただける。仙台でのスケジュールつめつめだったから、観光もなにもなかったんで、せめてグルメ味わえたのはよかった。


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いいところも、悪いところもあった宮城遠征。ただなんとなく時間が経てば、いい思い出になりそうな予感がある。レース中のコース変更はなかなかできない経験だ。いいネタがひとつ増えた。

まだ2020年の冬シーズンは始まったばかりだけど、コロナの影響はまだ続いていて、気軽に遠征へ行ける状況ではない。そんな中で何事もなく行って帰ってこれたのはよかったのかなって思う。今シーズンこの後遠征に行けようが行けまいが、走り続けていくことは間違いない。

 
 
 

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