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1612-1702(20年4月作成) 福岡・愛知・熊本・三重

  • 執筆者の写真: 光太郎 笠原
    光太郎 笠原
  • 2020年4月10日
  • 読了時間: 8分

更新日:2020年7月24日

昔の記憶を辿りながら書く文章だ。2020年の4月に書いてるから、約3年前の出来事。記憶があやふやなところもあるけど、書き出して思ったのは「意外と覚えてるな」ってこと。遠征して走った記憶は、そうそう忘れたりしないようだ。


16年から17年の冬は、編集部に所属していた時期。この頃いくつか販促で出張に行かせてもらった。

当時は「全都道府県ラン」を目指していたわけではないけれど、それでも出張に行くと、現地でランをする、っていうこと自体はすでに実践していた。昔から、行ったことのない街に行くと、散策をして回りたいっていう気持ちは持ってた。ランニングの習慣がつくようになってからは、自然な流れとして現地でランニングするって発想になったんだろう。


2016/12/13 福岡

福岡への出張。午後の便で羽田を発ち、福岡には夕方すぎに到着。初めて降り立った福岡の空港は市街地の真ん中にあって、すごくネオンがキレイだった。宿は祇園の東横インにしてて、早速チェックイン。まずは飯を食いに、中洲の街へ出向いた。屋台のイメージとかが強かったんだけど、思った以上に性風俗のお店が多いことに驚いた。それも裏手の通りじゃなく、観光客が通るメインストリートで、普通に呼び込みのお兄ちゃんが声かけてる。新宿とか池袋とはちょっと違うなって感じだ。もちろん飲食店も多い。「肉々うどん」ていうチェーンのうどん屋さんで、唐揚げとうどんの定食を食った。独特の柔らかいうどん。生姜がきいてて美味しかった。宿までの帰路に那珂川ぞいも軽く歩いた。「博多ドーナツ」っていう焼きドーナツを買い食いしつつ街を歩いた。


こっからがランニングの話。今となっては完全に朝型ランナーだけど、当時は生粋の夜型ランナー。そして今はスマホをポケットに入れて、ランニングアプリを確認しつつ進むけど、その時期はそれもなかった。地図だけは見てたと思うけど、事前にどこへ向かうなんてことはあまり考えず、「とりあえず道が続く方へ進む」的な走り方をしていた感じがする。

ホテルから北へ行くと、大きな幹線道路に当たってんで、そこで西へ進路変え、海がある方へ向かった。福岡の市街地は港がすごく近い。博多埠頭に着いたら、大きな客船が停船してて、すごくキレイだった。夜の港はとっても美しい。照明灯った船と街灯と波の音で、すごくいい夜景だった。記録も残ってないから、どんだけ走ったかはわかんないけど、多分30~40分程度のランだったように思う。

いま考えると、なんだけど。

ここですごくキレイな夜景に出会えたことは、その後の出張時のランニングをする上でいい体験になった。出張の仕事の前にランニングするってのは、当時の感覚としては、「疲れて仕事に支障があるんじゃないか」って心配もあったけど、精神衛生上プラスの効果があるなって思い直せたように思う。結果的にこのシーズンだけで4箇所、遠征ランすることになる。


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2017/1/17-18 愛知

名古屋出張。二日間で名東・愛北と回った。どっちも宿は名駅(名古屋の人は名古屋駅を「名駅」と呼ぶ)近くのスーパーホテル。それまで名古屋って縁遠いところだったけど、この二日間のうちに、ひつまぶし、手羽先、味噌カツ、味噌煮込みうどん、あんかけスパゲッティと名古屋飯を満喫して、一気にファンになった。

独特の文化がある。食べ物は象徴的な一つだけど、衣食住ともに「ならでは」っていう雰囲気がある。名東の秋山さんと、愛北の松尾さんは対照的な性格。一方は社交的で、もう一方は朴訥な感じ。そんな訳で園に入った時の対応も違ってるんだけど、どっちにしても他の地域にはない、相手方の「プライド」みたいなものを感じる。名古屋の人は地元に対して、相当な愛を持ってるようだけど、それを事あるごとに感じた。逆に外からきた人間がここに馴染むのは、時間が必要だなって印象だ。なんにしても誇りを持つことは良いことだと思う。

二日間とも名駅の周辺で夕飯食った後にランニングした。


一日目、名古屋城へ向かった。名駅からはそこそこ距離あるんで、走っていくのにちょうどいい距離。予定通り近くまではたどり着いたんだけど、そこでスマホの充電が切れた。体力的にはもうちょっと回ってもよかったけど、「ちゃんと戻れるか」って事が不安になったんで、見物もそぞろに、そそくさとホテルへ戻った。

二日目はその反省を生かし、十分充電した上で名古屋城付近へ再びランニング。今度はお堀の周りをしっかり一周できた。名古屋城はキレイにライトアップされる。その偉容が堀の水面に映って、写鏡のように美しく見えるところがある。周りが暗い中なんで、その様相がひときわ目立って、自分の目にもしっかり焼き付いてる。幻想的な光景だった。二日続けて同じところに来たけど、その価値はあったなって思う。


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2017/2/1 熊本

熊本出張。この時初めて販促当日の朝、ランニングする流れにした。

前月の名古屋でも日本の誇る名城に行ったけど、熊本に来たら、もちろん熊本城に行く。宿のある水天宮から3~4kmで行けるような場所なんで、ちょうどいい。この時期から遡ること約10ヶ月、熊本では震度7の地震があって、大きな災害となった。中でも熊本城の被害はその象徴的な出来事で、組み上げられた石垣が無残に崩れ落ちた映像は、深く心に残っていた。その場所へ行くんだと思うと、観光気分はほとんどなく、災害現場を覗くような感覚だった。

熊本城の周りは大きな公園になってるんで、当然のようにランナーがいる。村上春樹の文章の中で、熊本城の周りをランニングしていたら、どのランナーからも「おはようございます」と声をかけられた話が載っていた。自分が走った時は、そんな事もなく、みんなひたむきに黙々と走ってた。

天守閣へ向かうまでに、いくつか石垣がある。話に聞いていた通り、そして映像で見た通り、崩れて落ちている様子が見てとれた。ただ実際に見ると、スケール感が違う。映像で見る石垣は大きさが伝わらない。普段街で見かける石垣とは規格が違う。あの大きさで見事に組み上げられた石垣が、いとも簡単に崩れるんだから、地震のパワーの恐ろしさを感じる。これを復興していくのはかなりの大仕事だろうな。もちろん、天守閣のそばには近寄れない。ただ、深く掘り下げらた、堀の深さは見ることができた。「こりゃ攻め入るのは大変だ」って素直に思うような堅牢な作り。前月の名古屋城の時も、加藤清正公の威光に触れたけど、ここでもその影響力を感じた。大した人だ。

こうやって実際に被災地を目の当たりにすると、それまで感覚としてしか持っていない「復興への想い」が、よりリアルで切実なものになる。2019年の10月に「熊本城復興」の特別公開のニュースがあったときは、心底よかったなって気持ちになれた。自分の目で見ることの大切さを感じる。


この日はランニングの後に、販促回り。地震の影響が大きかった益城郡の方も回らせてもらった。ここでは崩れたままの民家なんかもあって、「そんな時に営業に来ちゃってよかったのかな」って不安になったりもした。でも、園の中に入って挨拶すると、「わざわざ東京からありがとうね~」なんて言ってくれる。本当にありがたい限りだ。

熊本では二日間仕事した。一日目の夜には飲み会も開いてもらって、おもてなしも受けた。「今度はいつ来てくれますか」なんて言われたんで、「お呼びがあればいつでも!」なんて返したけど、まだ実現できてない。是非また行きたいもんだなって思う。


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2017/2/14 三重

三重へ行ってきた。陸路で三重へ行くには名古屋が分岐になる。この日も名古屋で夕飯食ってから、南下して三重へ向かった。文化圏としては、ほぼ愛知と同じような印象だ。宿は平田町ってところで、鈴鹿のすぐそば。なのでランニングは、鈴鹿サーキットを目指すことになる。販促当日の朝、走ってきた。

平田町のホテルのそばに大きなイオンモールがあって、そこに面した道が「サーキット道路」っていう幹線道路。ほとんど店もないようなところだけど、しばらく進むと、HONDAの大きな工場がある。この辺通ってるときは「鈴鹿に来た」っていう感覚えられたけど、そこ過ぎると何もない。あまりに何もないんで、道があってるのか不安になるような感じだった。鈴鹿サーキット自体はものすごい大きな施設。その周辺に、遊園地的な敷地もあるんで、さすがに着くと「ここだ」ってことはわかる。ただデカすぎて、写真を撮るにも、うまくフレームにハマる景色がない。一応エントランスらしき門があったんで、そこで写真は撮ったけど、なんだかよくわかんない。当時はシューズと一緒に撮るって方式にもしてなかったんで、後で見返すと何の写真だかわかんないくらいだ。

でも、走ってきたのは事実。「三重は、鈴鹿サーキット周辺を走った。」って胸張って言える。

ちなみに三重では、森さんていう営業マンと回った。この人が生粋のアスリート。自転車競技で日本中回ってるような人で、フルマラソンも走る。「3時間10分くらいで走ります」って聞いて、「そんな市民ランナーレベルを超えた人がチャイルドグループにいるのか!」って驚いたけど、数年後には自分がそうなってた。それは誇らしいことだ。


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この4県は「全都道府県ラン」を意識する前に走った「エピソード0」のストーリー。こんな時に長年つけている日記は役に立つ。3年後に読み返して、いろいろ思い出すことが多かった。ちょうど編集部から製作部への復帰が決まったのが、この後の4月。全国各地へ出張する機会のあったこの時期に着実にランニングしてたことは、大きな財産だ。考えてみると、すでにこの頃には、ランニングが日々の生活の支えになってた様子がわかる。ありがたい趣味を見つけられたもんだ。


そしてこの4県については、ゆくゆくは正式な大会なんかでも再度回りたいなって思う。今の目標はこの「全都道府県ラン」を一周で終わらせず、延々とループさせていくこと。優先順位は先になるだろうけど、実現していきたい。

 
 
 

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